マッピング

 さて、結構、期待していた「美少女ゲームパーフェクトマップ」だが、ひどい。とにかく、ひどい。

 現実認識が俺と違う、というのではない。どういう認識しているかが、わからないのだ。

 マップというのは、作品群を、軸をもって、位置づけるところに意味があると思うのだが、このマップの場合、そもそも、「軸」が何で、どう位置づけてるのかが、さっぱりわからないし、見えてこない。

 一応、縦軸が時間。左側が「まんが・アニメ的リアリズム」、右側が「ゲーム的リアリズム」、らしい。だが、それしきの説明で、このマップを読み解くことは不可能だ。

 最初の説明のところで。

マップの基本的な読み解き方については、個々の読者の関心と知識、想像力に委ねたいところだが

 とあり、根本的な解説を放棄している。このあとに続く「解説」が、また、ひどい。

 (中略)時間による変化を意識することである。たとえば、右上(物語消費+ゲーム的リアリズム)と右下(文学的想像力とゲーム的リアリズム)ではペアリングが変わるので、作品としてのあらわれ方も変化する。(中略)垂直上では同じ線に見えたとしても、それらは同系統ではない。

 垂直上で同じ線にあるものが、同系統になかったら、マップとして間違ってるだろ、それ!

 どんなものも、評価基準は沢山ある。その沢山の基準の中から、余計なものを切り捨てて、すっきりまとめるところに評論の意味がある。マップの場合は、二軸で、一側面を切り取る必要がある。
 ところが、佐藤心は、軸についても適当で、また、その適当なマップの中に、あとからの思いつきで、いろいろなアイディアを適当にぶちこんでいるので、見づらいことこの上ない。というか理解不能だ。

 たとえば、「アトラク=ナクア」と「雪色のカルテ」と「無限のリヴァイアス」は、「プレ・ファウスト系」なんだそうだ。「プレ・ファウスト系」が何で、なぜ、この3作(他)が、そこに含まれるか。理解できる人がいたら教えてほしい。

 その他のグループ分けも、正直、よくわからん。「君が望む永遠」は「電撃系」らしいし。

 好きな作品をテキトーに羅列して、マル書いたり、線引っ張ったりするのは楽しかろう。そういう楽しさだけは伝わってくる。

 きっと佐藤の中には、佐藤なりの理由があるのだろう。一個一個のゲームについて、「このゲームは、以下のような理由で、こういう風に位置づけられる」と説明されれば、わかる面もあるのだろう。
 だがそれなら、最初から評論にすべきであって、こんなクズみたいなマップで、察しろ、というのは、根本的に間違ってる。いい加減にしてほしい。