2003-01-01から1年間の記事一覧

批判と分析

映像批判に消費社会批判。 東が、これらの批判的視点にマトリックスの価値を見出したから、そうした視点がない続編がつまらない/価値がない、という主張は、よくわかる。 ただ、それだけでは、彼の言う「ベタな批評」に過ぎない。 批評は、作品に価値を発見…

作品論的批判?

さて、文章を読んでの感想だが、問題は、それらが、なぜ、「解釈の欲望を駆り立てる」のかが説明されていない点だ。 映像批判がされていると、解釈したくなるの? 消費社会批判がされていると、解釈したくなるの? したくなるとしたら、どうして? どんな人…

マトリックスってどうよ2?

さて、マトリックスのメタ批評の続きである。 前回、「作品論的な視点から批評する」と言う東は、今回で、「マトリックス」の魅力を以下のように分析している。 メタフィクションと映像批判と消費社会批判の3つの軸が交差するところに立ち現れたエンターテ…

その他のコラム

コラム自体は、特に長い「論」を語るわけではなく、「旧作新作かかわらず、面白そうな作品を見かけたら貪欲に書き散らす」のだそうだ。 ロングインタビューは、面白そう……なんだが「きみぼく」をまだ読んでないので、あらためて。 佐藤心のコラムは、趣味が…

創刊準備号

望月は、まだ生きてます。 さてさて、楽しみにしていた東氏の新規メルマガ、波状言論の創刊準備号が公開されました。次号以降も、これから申し込む予定です。 まず、東氏本人による巻頭コラム「crypto-survival noteZ」は、個人出版と商業出版に関して。 個…

リローデッド

で、次号では、まず「リローデッド」が、単体で解釈の欲望を刺激しない原因から語ってくれるらしい。 「リローデッド」が、つまらないのは同感である。 ただコレ、解釈の欲望を煽る記号だけは、きっちり入ってるんだよね。 基本的なトーンは、二元論の否定。…

マトリックスってどうよ?

今回は内容には、それほど反対がない。「マトリックス解説の仕事受けちゃったけど、そういやこの号が出るころにはレボリューションが公開されてるんだよな。まずったなぁ、まだ見てないから結論、書けねーよ」という言い訳に紙面の大半を使うのは、どうかと…

読者の興味を引くということ

ここからは一方的かつ主観的な批判になるが、この一連の文章には、彼の欠点の一つが現れている。 ま、はっきり言うと、「読者が見えてない」というやつだ。 彼は、自分の書評の理論的な緻密さを追及するあまり(それ自体はいいことだ)、緻密でありさえすれ…

書評のあり方

ときどき、「書評者は、読者に買う気を起こさせてはじめて一人前だ」とか説教を垂れるひとに出会うことがあるが、「そりゃ書評じゃなくてただの宣伝だろ」というのが僕の考えだ。批評は批評で独立したもので、創作の腰巾着になる必要はない。異論もあるかも…

世代変遷と時代

アニメに先立つ、日本のSFファンダムでは、同じような現象が10年くらい早く進行していた。 様々な趣味において、様々な時代で、似たようなことが起きていたといえるだろう。 そうした世代の変遷は、もちろん時代背景から自由では有り得ない。 だが、東の…

原始的な快楽から、オタクへ

で、そうやって侮蔑されていれば、小集団のほうでも団結しはじめる。 彼らはまず、自分と同じ価値観を持つものを尊重する。アニメファンが集まって、オタク集団となる。 次に、自分たちが、他より優れている点を追及する。所詮、一般人にはアニメの素晴らし…

年表によらないオタク世代論

東の定義するオタク系文化の世代変化は、一部納得できる部分もある。が、そうした変化を、狭い意味での世界のポストモダン化でなければ説明できないか、というと、別問題である。ソ連邦が崩壊したから、オタク第3世代が生まれた、という仮定は、本当に必要…

ポストモダン化……狭い意味

一方で、「動物化するポストモダン」において、東は、もっと狭い意味で、ポストモダン化を使っている。 彼によれば、それは、第一次世界大戦から、ソ連崩壊までの連続した過程であり、そのタイムラインの中で、オタク系文化のポストモダン化が起きている、と…

ポストモダン化……広い意味

近代……定義は様々だが、まぁ例えば工業化が始まったあたりから、世界は大きく変貌を遂げてきた。工業化による技術革新により、人間の欲求を満たし、コントロールする技術は、長足の進歩を遂げた。肥大化する人間の欲求は、市場原理によって満たされ「動物化…

世代の循環

「動物化するポストモダン」において、東(id:hazuma)は、オタクの世代化は、世界のポストモダン化を反映している、という、主張をしている。 「世界のポストモダン化」を、広い意味で捉えた場合、これは穏当な発言である。 「ポストモダン化」を、狭い意味…

学者と芸人

前から思ってはいたのだが、東氏(id:hazuma)の文章に対して、学者の文としての批評は意味がないのかもしれない。彼は、芸人と扱うべきなのかもしれない。 「政治的」、「パフォーマティブ」……言葉は何でもいいが、書かれている内容自体よりも、書いた意図…

村を作るという欲望

要は、村社会というのは、決して「おれたち村を作りたい」というストレートな(動物的な?)欲望で作られるものではなく、「村ってキモいよね」とかいうシニカルな連中こそが実はいちばん村社会を作りやすくて、日本ではそういうシニカルさが妙に発達してい…

同村指数と内輪化

ただ「内輪化」についてひとこと。このあいだの同村分析を見ても思ったのだが、実際のところ、はてなはそんなに内輪化しているのだろうか? 東浩紀村とかいうけど、同村以上と認定されたひとがそれほど多いわけでもない。 「同村指数」については、こちらと…

はてなは内輪化しているか?

身長170センチの人は背が高いか? 体重40kgの人は軽いか? どちらもまぁ、無意味な問いである。 答えは簡単で、「定義次第で、どっちでもいえる」。 対策も簡単で、「目的に応じて、きちんとした定義を作り、それを元に議論する」。 東氏(id:hazuma…

さらに呆れた

東氏のところで公開されてるメールのやりとりをみて、さらに、あきれることしきり。 「サイトで書いても騒動になるから、まずメールで相談するよ」というメールが来た。 それに対し、いきなり「怒られる」と題した日記を公開して、オフの撤回を宣言する(相…

あきれた

今さら東氏(id:hazuma)に言うこともないだろうが、良い共同体をきちんと維持するには不断の努力が必要である。はてなが使いやすいとしたら、それは、誰かが貴重なお金と時間、頭脳を使っている、ということだ。 自分にとって気持ちのいい共同体を作ろうと…

はてなダイアリーってどうよ?

今月のゲームラボの東(id:hazuma)の連載は、はてなダイアリーである。彼は、はてなが、「閉じられつつ外へ向かう」場である、と称揚している。 その理由として、現在のはてなの規模は、サブグループを育む程度の大きさはありつつ、その中で情報が拡散せず…

知識欲という欲求

では、本来意味がない論に、なぜ、魅かれる人がいるか? 思い切り単純化すれば、それは知識欲を欲求的に消費しているからだ、ということになる。 何度も書いているように、東の「動物化するポストモダン」は、裏付けを欠いている。で、この本の内容を、きち…

テーマという欲求

娯楽作品を売る側からすれば、「テーマ」というのも、欲望を欲求的に消費させる一つの要素でしかない。 例えば、人間には、「社会的に有意義でありたい」という欲望がある。この欲望を欲求的に消費させるために、「社会性のあるテーマ」を持った作品が作られ…

フィクションと動物化

東(id:hazuma)は、 東は、人間的な欲望と、動物的な欲求を対置し、社会的な関係の中で作られていくのが欲望、単純に欠乏を埋めて満足するのが、欲求としている。そして、動物化の状態として、欲望を欲求として解消し、欠乏−満足の回路を閉じてしまう、と指…

メタリアルフィクションの問題点

この文章における東の大塚批判が、全部が全部無意味だというわけではない。 この後に続く、大塚が大衆批判へ退行している云々は、それなりに意味がある文章かもしれない。 このへんは、単なる枕なのかもしれない。 とはいえ、東的に主題がどこにあろうが、読…

ジャンルではなく、努力の問題だということ

次に、もっと重要な問題。なぜ、大塚が、「努力が乏しい」という批判をしたかだ。 今度は、引用された大塚の文の直後を見てみよう。 「ゲームのような死」の表現方法の先に、リアルな人の死(それはリアルな生の、裏返しでもあります)をいかに描きうるのか…

TRPGではない

簡単なほうから行こう。 二番の、大塚の批判がTRPGに向けたものであるか、どうかだ。 先ほどの大塚の引用の直前に来るのが、以下の文章である。 そして同時にゲームという表現が人の死をパラグラフの数値として示し、リセット可能なものとして描いてきた…

東の指摘する二つの点

映画やまんがやミステリーが人の死を記号的にしか描けないという限界を自覚した上で「現実」との関わりを模索しているのに対して、「ゲーム」や「ゲーム」を出発点とする「ゲームのような小説」はその努力がぼくには乏しいように思えてなりません。 「キャラ…

TRPGと人の死、再び

「キャラクター小説の作り方」を最近、再読したので、東(id:hazuma)のファウスト記事の問題点を、もう一度洗い直しておく。