2004-03-01から1ヶ月間の記事一覧

議論の後半で、北田および東は、オタクと主婦が、社会的に作られた地位であるにも関わらず、当人たちが、それを自分の本質だと考えている点で類似している、と指摘する。 順番に見てゆこう。 まず、オタクが社会的に作られた地位であるということ。それはそ…

ベタな感動

「感動」が動員要素になっているという点について、北田は、以下のように書く。 北田:(前略)そういう流れが、弁証法的に必然的な歴史性をもっているかはわかりませんが、1990年代後半からバーっと見られるようになる。2ちゃんねるでも広告というか動員の…

今回のメインは、2ちゃんねるについて。 最初に釘を差して置きたいが、2chに関する議論というのは、大ざっぱすぎるものが多い。 2chは、無数の掲示板の集合体であり、それぞれの掲示板、また掲示板内のスレッドごとに、様々な文化がある。荒らし上等な便所…

今週は、作品批評は脇において、ラカンの三界説を扱う意味について。 東は、ラカンの説が実証性を持たないことを前提に、なぜ、それを意識する必要があるかを語る。 心そのものの働き、たとえば認知科学的な意味ではラカンの説はナンセンスである。だが、特…

佐藤がギャルゲー運動について述べている箇所を見てみよう。 したがって私たちはとりあえずの結論を簡潔に述べよう。九〇年代後半以降に生まれたギャルゲープレイヤーは孤独な存在である。ゲームプレイの一部始終は個人的なレベルに属するからだ。しかし本論…

さて、佐藤の「現代ファンタジー」は、もう一度引用すると、以下のようなものである。 こうした「ジャンル崩壊以降のジャンル」を特徴づける世界観を、私たちは広い意味で「現代ファンタジー」と呼んで構わないだろう。そこではもう異世界/現実世界という二…

日常/非日常

まず基本的なところから。 前回の記事のコメント欄では「日常/非日常」という単語が濫用されて話がこんがらがったので、きちんと分けてみよう。*1 日常、非日常と言った場合、まず、世界設定、風景としての「日常/非日常」がある。この場合、日常は、現代…

「ギャルゲー運動]

マルセルさんに、色々まとめていただいて、感謝。前の書き込みで、いくつか言葉が足りてないところがありましたので、改めてまとめてみます。

http://diary.note.ne.jp/d/38638/20040325.html 実は私は月姫がどのくらいの認知度があったのかが、よくわからないのですね。 もっと言えば、月姫が認知されていたのは(コミケにいくような)エロゲオタ/エロゲ業界周辺だけだったんじゃないのかな、と思う…

付記

http://diary.note.ne.jp/d/38638/20040324.html 地雷犬さんの日記より。 後半の「もしこういう認識が存在するとしたらそれってどうよ、的なものをメモっておきます。」という箇所について。 一応、俺の記事に懸かっている部分もあるので、フォローを。 3:…

まとめておこう。この号で、佐藤が提示した「現代ファンタジー」は、私見では、2軸で分類できる。・全体的な定義:複数の世界観から、様々な要素を引っ張って、ごっちゃにしたもの。・軸1:世界の内的な必然性。軸1によって、現代ファンタジーは、以下の…

佐藤が、根本的に間違っている点がある。 日常と非日常の往還は、長編物語を作る時の基本的なフォーマットの一つであり、それは失われるようなものではない。 アンドロイドと狐が同一線上に存在する世界設定なら世界設定で、その世界の中で主人公は、日常か…

ノベルゲームのシステムに関する説明は飛ばして、「現代ファンタジー」について。 佐藤心は、「現代ファンタジー」をプレイヤーが親近感を感じる現代世界に、節操無く他ジャンル(日本妖怪、西洋魔術、オタク文化)を入れ込んだものと説明する。 こうした「…

最初にあるのは、タイプムーンの同人ゲーム「月姫」の分析。佐藤によると、月姫の画期的な点は二つ。 一つ目は、商業的な宣伝なしで、インターネットを前提とした口コミによって大きなムーブメントを作るに至ったこと。 もう一つは以下。 本来的には二次創作…

ゲームラボにあった、「ギャルゲー運動」について捕捉。 用語は新現実1号に掲載された「オートマティズムが機能する 『月姫』から見たギャルゲー運動とその空間」(佐藤心)である。

今月のゲームラボのコラムは、オタクとオウム真理教について。 東の論点は2つ。1.オウム真理教は、オタクに対して大きなトラウマを与えた。オウムの中のオタク的な要素に自分と近いものを見出し、「俺も、ああなっていたかもしれない」という恐怖をオタク…

森川嘉一郎が、ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展にて、オタクと秋葉原をテーマにした展示を行うことになったとのこと。 彼の「趣都の誕生 萌える都市アキハバラ」は読んだが、秋葉原の分析を、年代別に、店舗の変遷を追って調べてゆく事実分析は非常に素…

前半は、昔話と業界のグチ。まぁ皆さん苦労してるんですね、という感じである。 リベラリズムとリバタリアニズムの話に踏み込むも、「リベラリズムは大切だと思うんだけど、現実を前にすると説得力がないんだよね。どうしようか?」というところ。頑張ってく…

今週も本題には近づかなかった。「しろうとうなぎ」みたいなコラムだな、しかし。 前号の「現代ファンタジー」のリアリティの元について、東はボードリヤールの「ハイパーリアル」を引用する。 東によれば、二種類の「ハイパーリアル」がある。 一つはヴァー…

遅くなったけど、波状言論。

プラネテス話とか

id:izumino:20040309#p2経由で、id:goito-mineral:20040308#p1へ。 さて「プラネテス」は、非常によくできたアイデンティティ追求の物語です。 で、主人公のハチマキは、3巻で船に乗った時点でキャラが完成しちゃったから、実のところそこで話は終わっちゃ…

流行としてのセカイ系

色々書いてきたが、気分としてのセカイ系を語る場合、一番重要なのは「登場人物が、世界とか運命とかについて、仰々しく語り合う」という点だろう。「セカイ系」という名前からは、そういうものが真っ先に連想される。「エヴァ」も「ブギーポップ」もそうだ…

セカイ系再び

ついでなので、セカイ系について、また駄文など。 基本的にセカイ系という言葉にはきちんとした定義も意味もなく、皆が皆、適当に使っており、それが指す作品も様々に異なってるので、セカイ系をきちんと定義するのは事実上不可能に近い。 逆に言うと、「俺…

ネットがなめられる理由

http://www.hirokiazuma.com/archives/000066.html というか、だれだか知らないけど(ということにしとくけど)、ひとの悪口を書くときは、それくらい調べましょう。前にも言ったことがあるけど、そういうひとがいるからネットはなめられる。Google使えば評…

ゲームとデータベース消費

ファウストさん及び萌え作品さんが、ゲームとデータベース消費について問題提起されたので、それについてまとめておこう。 コンピュータゲームというものは、本来、データベース的なものである(まぁデータベース自体がコンピュータプログラム系の概念だし)…