細部をもって伝えようとする場合

 郵便的不安たち#において、彼は、「大きな物語が崩壊した」ため、「タコツボを横につなぐこと」を目的として掲げていた。

 それが目的ならば、例えば、社会の動物化をオタクに対して語る時、「いや、それは細部で間違っている」と言われた時に、「細部はどうでもいい、全体を見ろ」という反論は、明らかに的を外しているだろう。

 様々なタコツボに住む人に、大上段に原理原則をかざしても通じないからこそ、その人たちにとって通じる言葉を紡ごうとしたはずだろう。だったら、細部に細心の注意を払うのは当然だし、むしろ、そここそが重要だ、と言ってもいいだろう。