雑感

読者の興味を引くということ

ここからは一方的かつ主観的な批判になるが、この一連の文章には、彼の欠点の一つが現れている。 ま、はっきり言うと、「読者が見えてない」というやつだ。 彼は、自分の書評の理論的な緻密さを追及するあまり(それ自体はいいことだ)、緻密でありさえすれ…

書評のあり方

ときどき、「書評者は、読者に買う気を起こさせてはじめて一人前だ」とか説教を垂れるひとに出会うことがあるが、「そりゃ書評じゃなくてただの宣伝だろ」というのが僕の考えだ。批評は批評で独立したもので、創作の腰巾着になる必要はない。異論もあるかも…

世代変遷と時代

アニメに先立つ、日本のSFファンダムでは、同じような現象が10年くらい早く進行していた。 様々な趣味において、様々な時代で、似たようなことが起きていたといえるだろう。 そうした世代の変遷は、もちろん時代背景から自由では有り得ない。 だが、東の…

原始的な快楽から、オタクへ

で、そうやって侮蔑されていれば、小集団のほうでも団結しはじめる。 彼らはまず、自分と同じ価値観を持つものを尊重する。アニメファンが集まって、オタク集団となる。 次に、自分たちが、他より優れている点を追及する。所詮、一般人にはアニメの素晴らし…

年表によらないオタク世代論

東の定義するオタク系文化の世代変化は、一部納得できる部分もある。が、そうした変化を、狭い意味での世界のポストモダン化でなければ説明できないか、というと、別問題である。ソ連邦が崩壊したから、オタク第3世代が生まれた、という仮定は、本当に必要…

ポストモダン化……狭い意味

一方で、「動物化するポストモダン」において、東は、もっと狭い意味で、ポストモダン化を使っている。 彼によれば、それは、第一次世界大戦から、ソ連崩壊までの連続した過程であり、そのタイムラインの中で、オタク系文化のポストモダン化が起きている、と…

ポストモダン化……広い意味

近代……定義は様々だが、まぁ例えば工業化が始まったあたりから、世界は大きく変貌を遂げてきた。工業化による技術革新により、人間の欲求を満たし、コントロールする技術は、長足の進歩を遂げた。肥大化する人間の欲求は、市場原理によって満たされ「動物化…

世代の循環

「動物化するポストモダン」において、東(id:hazuma)は、オタクの世代化は、世界のポストモダン化を反映している、という、主張をしている。 「世界のポストモダン化」を、広い意味で捉えた場合、これは穏当な発言である。 「ポストモダン化」を、狭い意味…

学者と芸人

前から思ってはいたのだが、東氏(id:hazuma)の文章に対して、学者の文としての批評は意味がないのかもしれない。彼は、芸人と扱うべきなのかもしれない。 「政治的」、「パフォーマティブ」……言葉は何でもいいが、書かれている内容自体よりも、書いた意図…

村を作るという欲望

要は、村社会というのは、決して「おれたち村を作りたい」というストレートな(動物的な?)欲望で作られるものではなく、「村ってキモいよね」とかいうシニカルな連中こそが実はいちばん村社会を作りやすくて、日本ではそういうシニカルさが妙に発達してい…

同村指数と内輪化

ただ「内輪化」についてひとこと。このあいだの同村分析を見ても思ったのだが、実際のところ、はてなはそんなに内輪化しているのだろうか? 東浩紀村とかいうけど、同村以上と認定されたひとがそれほど多いわけでもない。 「同村指数」については、こちらと…

はてなは内輪化しているか?

身長170センチの人は背が高いか? 体重40kgの人は軽いか? どちらもまぁ、無意味な問いである。 答えは簡単で、「定義次第で、どっちでもいえる」。 対策も簡単で、「目的に応じて、きちんとした定義を作り、それを元に議論する」。 東氏(id:hazuma…

さらに呆れた

東氏のところで公開されてるメールのやりとりをみて、さらに、あきれることしきり。 「サイトで書いても騒動になるから、まずメールで相談するよ」というメールが来た。 それに対し、いきなり「怒られる」と題した日記を公開して、オフの撤回を宣言する(相…

あきれた

今さら東氏(id:hazuma)に言うこともないだろうが、良い共同体をきちんと維持するには不断の努力が必要である。はてなが使いやすいとしたら、それは、誰かが貴重なお金と時間、頭脳を使っている、ということだ。 自分にとって気持ちのいい共同体を作ろうと…

知識欲という欲求

では、本来意味がない論に、なぜ、魅かれる人がいるか? 思い切り単純化すれば、それは知識欲を欲求的に消費しているからだ、ということになる。 何度も書いているように、東の「動物化するポストモダン」は、裏付けを欠いている。で、この本の内容を、きち…

テーマという欲求

娯楽作品を売る側からすれば、「テーマ」というのも、欲望を欲求的に消費させる一つの要素でしかない。 例えば、人間には、「社会的に有意義でありたい」という欲望がある。この欲望を欲求的に消費させるために、「社会性のあるテーマ」を持った作品が作られ…

フィクションと動物化

東(id:hazuma)は、 東は、人間的な欲望と、動物的な欲求を対置し、社会的な関係の中で作られていくのが欲望、単純に欠乏を埋めて満足するのが、欲求としている。そして、動物化の状態として、欲望を欲求として解消し、欠乏−満足の回路を閉じてしまう、と指…

細部をもって伝えようとする場合

郵便的不安たち#において、彼は、「大きな物語が崩壊した」ため、「タコツボを横につなぐこと」を目的として掲げていた。 それが目的ならば、例えば、社会の動物化をオタクに対して語る時、「いや、それは細部で間違っている」と言われた時に、「細部はどう…

細部が本筋である場合

さて、議論によっては、全体的な流れはどうでもよく、細部の説明自体に意味がある場合もある。 それは、全体的な流れが存在することが、誰にも了解されている時である。 例えば、「物を落とすと、やがて落ちる」という大原則は、誰もが了解している。その次…

細部が細部でしかない場合

さて、全体的な大きな流れが存在する時も、常に、それに反発する部分はある。川の流れは上流から下流へいくが、その中にはよどんでいたり、逆流していたりする部分もある。 この時、ことさらに、逆流する部分を取り出して、「川が流れてるとは言えない」と言…

細部を捉える反論について

東氏(id:hazuma)の言説を巡る議論において、事実関係の議論をする時、しばしば言われるのが、「それは細部であって本筋ではない」というものである。 こうした議論は、東氏が直接、言っていることではないことは確認しておきたいが、一応、論駁する価値が…

動物化する社会

(オタクたちは)集団として見れば、結局、猫耳が流行れば、バーッと猫耳、メイドが流行ればバーッとメイド、羽根が流行れば羽根というわけで、単にもう動物的に動いているだけだろう、と。むしろ、そういう風に捉えたほうが、オタクたちの行動は効率的に説…

オタクとは……精神的な方向性

こうしたモデルから、具体的な、「オタク層」オタク系作品、オタク系人間を把握して、初めて、その趣味の方向性について語ることが可能となる。 さて、いわゆる「萌え系」というのは、「市場モデル的に」で定義した、オタク層の中の、さらに小さな部分集合で…

オタクとは……平均的オタク像。

上記のモデルを踏まえるなら、基本的に、遊びに使える金が多いのは、大学生、そして、独身の社会人。オタグッズを集めて文句を言われないのも、一人暮らし独身。*1 そのへんで統計取ってみれば、生身の女性が苦手、というのも、あながち外れてないだろう。 …

オタクとは……市場モデル的に

大ざっぱに言って、「オタク市場」と呼ばれるものは、20代前半から30代くらいに至る層で、見込める数は、数千から10万。平均が1〜2万というところ。 いわゆる「萌え系」の作品、ギャルゲ、エロゲの購買層は、この中に集中している(相関が非常に大き…

オタクとは

『「オタクという立体が、どういう形で、どんな色に塗られているのかが見えてこないんだもの。」 望月氏のこれもうまく見えてこないんですが、一度まとめていただけると東氏への言及が読みやすいです。』 このようなコメントをいただいたので、ひとまずまと…

オタクとかポストモダン化とか世代論とか

上記の手法が使えるのは、もちろん、人種だけではない。むしろマーケティングなんかで、よく使われている。 うちの製品を買うのは、どういう層か? それを例えば、年齢別、収入別、趣味別、とにかく色々なデータを放り込んで、それぞれ、あるいは、その組み…

統計学手法について

人種、という概念がある。白人、黒人、黄色人種等色々ある。 地理的要因、文化的要因、政治的要因を脇において、とりあえず、人間の肉体的な特徴から、その属する種が分かるのではないか、というものだ。 まぁ考えればわかるが、ずいぶんと乱暴な分け方であ…