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http://www.hirokiazuma.com/archives/000098.html
『ファウスト』はむろん太田さんの個人誌なのですが、もしその編集方針に僕が多少とも貢献できたとするのなら、そちらのほうの起源は、伝奇でもメディアミックスでもない、この本に書かれたようなヴィジョンにあるのです。『ファウスト』が急速にメジャー化しようとしているいま、そのことを、たとえ個人出版としてでもかたちに残しておくことは重要だと考えました。
これは、非常に抑制された大人の言い方で、ケチのつけようがない。「ボク的にはこういうのも大事だと思うよ」という対抗意見として理解できる。
こういう書き方ができるなら、
・波状言論
現在、美少女ゲームとライトノベルの接点では奈須きのこ氏の作品(『月姫』『空の境界』『Fate/stay night』)が突出して持ち上げられていますが、これは必ずしもよい状況ではありません。そもそも『ファウスト』は、当初は「新青春エンタ」を編集方針にしていたはずで、だとすると、伝奇作品の系譜よりも、今回評論本に登場していただく原田・元長両氏や、高橋龍也氏や麻枝准氏が作り上げてきた「現代ファンタジー」(佐藤心)の流れのほうが親和性が高いのです。それなのに突然伝奇よりになったのは、不可解としか言いようがない。僕は基本的には『ファウスト』を応援しているし、はっきり言って小説誌でまともに読んでいるのはこの雑誌しかないのですが、上記の点で、第三号の目次予定にはどうしようもない違和感を覚えています。その感覚が、この同人誌企画の原動力のひとつになっているわけです。
とか書かなきゃいいのに。
2002年の秋、『新現実』第2号用に僕が書いた秘密の企画書には、上遠野浩平、佐藤友哉、乙一、滝本竜彦といった名前に並んで、元長さんも原田さん、そして奈須きのこと涼元悠一の名前があったのでした(このアイデアがのち『ファウスト』に流れていきます)。僕はあのころから、ライトノベルと美少女ゲームの交差点を捉える批評的枠組みについて延々と考えていたのですが
こうして名前を見ると、共通点があるというよりは、ライトノベル、エロゲにも、いろいろな人材がいるなぁ、という感じですな。
そういえば、「ライトノベルと美少女ゲームの交差点を捉える枠組み」って、結局、なんなんだろう?
今のとこは、ファウスト1号の「ノベルゲームは、ゲームだからメタフィクションと相性がいい」くらいしかない気がする。2号は「舞城王太郎すごい」だったし。
まぁそのあたりはHakagixに期待ということで。