ファウスト

引き続き、「九十九十九」について(以下、ネタバレあり)。 「九十九十九」のクライマックスでは、3人の「九十九十九」が一同に会する。 3人とも自分のいる場所がメタフィクションの中であることを認識している。 一人目は、この世界は「神」が生み出した…

http://www.hirokiazuma.com/archives/000098.html 『ファウスト』はむろん太田さんの個人誌なのですが、もしその編集方針に僕が多少とも貢献できたとするのなら、そちらのほうの起源は、伝奇でもメディアミックスでもない、この本に書かれたようなヴィジョ…

さてさて、何かの作品を批評して、その作品の価値を定めるということが行われるとする。では、その批評の価値は、どこに求めたらいいだろうか? 理論には検証がつきものである。そうした批評も検証してみればいい。 具体的には、こういうことだ。 「この作品…

そんなわけで、感想メモ程度に適当に。 今回の「メタリアル・フィクションの誕生」は、大塚批判に終始している。 基本的な流れは、「ゲームにおけるリアリティの無さを大塚は批判している」→「そのリアリティの無さと見えるものこそがメタリアルを作っている…

ファウスト賞と血の交換:続き

Artifactにて、こんな考察が。 同性愛はなんだろう…。『マリア様がみてる』を見て、レズいい!と思う男性層が増えたとか? ところで、男性作家が多いんだから、この同性愛って女性の同性愛ですよね? もし、男性の同性愛を描いている応募作品が多いとしたら、新…

ファウスト賞と血の交換:追記

手を合わせて見つめるだけで 愛し合える話も出来る くちづけするより甘く ささやき聞くより強く 私の心をゆさぶるあなた ピンク・レディ「UFO」(1977年) 「それ遅いんじゃない?」ということを感じた方は、他にもあちこちにいらっしゃったようで、id:lepa…

ファウスト賞と血の交換

東氏(id:hazuma)の1/21のblogより。 ファウスト賞の応募作が、現代ファンタジーで、同性愛で、吸血鬼なストーリーが多いとのこと。 血の交換が描かれながら、痛覚が回避される。それは、血のモチーフが、身体性の回復といった主体の問題系(リストカット)…

メタリアルフィクションの問題点

この文章における東の大塚批判が、全部が全部無意味だというわけではない。 この後に続く、大塚が大衆批判へ退行している云々は、それなりに意味がある文章かもしれない。 このへんは、単なる枕なのかもしれない。 とはいえ、東的に主題がどこにあろうが、読…

ジャンルではなく、努力の問題だということ

次に、もっと重要な問題。なぜ、大塚が、「努力が乏しい」という批判をしたかだ。 今度は、引用された大塚の文の直後を見てみよう。 「ゲームのような死」の表現方法の先に、リアルな人の死(それはリアルな生の、裏返しでもあります)をいかに描きうるのか…

TRPGではない

簡単なほうから行こう。 二番の、大塚の批判がTRPGに向けたものであるか、どうかだ。 先ほどの大塚の引用の直前に来るのが、以下の文章である。 そして同時にゲームという表現が人の死をパラグラフの数値として示し、リセット可能なものとして描いてきた…

東の指摘する二つの点

映画やまんがやミステリーが人の死を記号的にしか描けないという限界を自覚した上で「現実」との関わりを模索しているのに対して、「ゲーム」や「ゲーム」を出発点とする「ゲームのような小説」はその努力がぼくには乏しいように思えてなりません。 「キャラ…

TRPGと人の死、再び

「キャラクター小説の作り方」を最近、再読したので、東(id:hazuma)のファウスト記事の問題点を、もう一度洗い直しておく。

付記

東氏の9月4日の日記のコメントに、上記記事に関する言及があり。 ただ、『キャラクター小説の作り方』における大塚氏の批判は、正確には、TRPGそのものというより、TRPGのリプレイを下敷きにして作られたキャラクター小説に向けられています。僕はそこは同…

ファウストvol.1 メタリアル・フィクションの誕生

上に加えて、「ライターとして下手」というのも付け加えておこう。これ、金取って読ませる文章じゃない。 文章の枕は、大塚英志の「キャラクター小説の作り方」。 大塚英志は、ゲームのライトノベルへの影響を悪い方へ考えている。 このゲームというのはTRPG…