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森川氏のオタク理論は、オタクの個室(いわゆる魔窟と呼ばれるタイプ)を精神分析しようというものだ。
それに関し、前回の記事では、オタクの部屋にモノがあふれるのは、オタクがモノをたくさん買いたがり、触れたがるという物理的必要性が、まずある、と、指摘した。
森川氏は、次に、オタク系ショップが「個室化している」と説く。それはオタクが、個室的空間を求めるからだ、と。
これも、同じだ。
オタクショップに求められるのは、品揃えである。故に、狭い空間に大量のモノが置かれることになる。
外装が綺麗にならないのは、効率の問題である。
「あらゆる面で品揃えが同じで、かつ、外装が綺麗な空間」を用意できれば、そこにオタクが集うことも考えられる。
だが実際には、オタクショップのほとんどは零細であり、敷地や外装に金をかけてられない。必然的に、狭い空間に、大量のアイテムを押し込めることになる。外から見えるオシャレ空間を演出すれば、モノが日焼けするし、置ける棚も減るのだ。
同じものを買うのなら「買う場所」が問題になる。外見や中の快適さ、接客、値段などが重要なファクターとなる。
一方、珍しいものを買う時は、「買えること」が問題になる。狭いし臭いし店員ムカつくけど、これが買えるのは、仕入れるのは、この店だけだから、我慢して買うかってなもんである。
必ずしも、オタクが、そういう店の有り様を好んでいるから、とは、限らないのだ。
特典テレカとポイントカードがなきゃ、誰が好きこのんであんな臭い店で予約するかよっっていう一面もあるのですよ。
この説を証明するのは簡単だ。
つまり、オタク相手以外にも、こうした店が存在することを示せばいい。
いい例が古本屋だ。(一般的な概念としての)オタクの存在前から、狭くて汚くて棚が沢山並んだ個室っぽい古本屋は、いくらでもあった。
日本に限る必要もない。海外にも、似たような古本屋はいくらでもあるし、古本屋じゃなくても、マニア向けの店というのは、だいたい、そうだ。
オタクの美意識が、汚い店だ、と、決めつけるのは、そういう単純な制約を無視した粗雑な物言いである。