現状、いわゆる美少女ゲームのほとんどは、ノベルゲームからなっている。RPG形式のゲームや、アクションパートのあるゲームもないわけではないが、(少なくとも)割合的に少ない。

ノベルゲーム自体のシステム面の進化は、様々に考えられるが、それほど追求されていない。

これをもってして、「美少女ゲーム界&ユーザーは志が低い」という話があるが、ちょっと待ってほしい。

ゲームというのは、本来、買う人の嗜好に求めて差別化されるものだ。美少女ゲームにプレイヤーが求めるのは、基本的に「かわいい女の子」と「えっちなこと」をすることだ。*1よって、メーカーも、そこに全力を傾注する。

「かわいい女の子」と「えっちなこと」を体験するには、良い絵とその枚数。そしてキャラ付けとテキストが一番重要となる。開発において絵師とライターに比重を置くのは当然だろう。

「かわいい女の子」との「えっちなこと」において需要があればシステムの進化は起きる。SexyBeachみたいに、「ポリゴンおっぱいを、マウスで揉もう」というのは、その一つだ。逆に言うと、需要のない進化は起きにくい。それは、どんなジャンルのゲームも同じだ。そして売れない努力をする会社は繁栄しない。

ノベルゲームというシステム自体は、様々な可能性を秘めている。簡単なルート分岐一本道ゲームで終わる必要はない。進化が起きてほしい、という気持ちはわかる。また、現状の美少女ゲーム業界が、タコツボ化しすぎているという懸念は、別にある。個人的には、ノベルゲーム的な多層性を重視したゲームも大好きだ。ただ、進化圧のないところに、進化を求めて、精神主義(志が低い!)を持ち出すのは、まぁ、無責任な話だろう。それは例えば、「どうして美少女ゲームではアクション要素が進化しないんだ!?」というのと同じだ。それを求めてる人がいない(極めて少ない)のだから、作られようがないのだ*2

システム的に面白いノベルゲームとしては、過去には例えばチュンソフト「街」があった。今でも、例えば、京極夏彦とか、それこそ清涼院流水原作のノベルゲームという企画があれば、ノベルゲームのシステム的な進化が需要としてあるだろう。
また、美少女ゲームの中にも、頑張ってシステム的な面白さを追求しているゲームもある。有名作品すぎて気が引けるが「Fate/hollow ataraxia」なんかは、結構面白いストーリー構造を持っていたりする。

美少女ゲームにゲーム性がない、と、言う前に、システムをウリにできるノベルゲームの企画、そして、システムで頑張っているノベルゲームの紹介をするのが、建設的というものだろう。

*1:甘酸っぱい思い出を作ることでも可。

*2:正確には、作っても、ほとんど話題にならずに消えてゆくのだ。