統計学手法について

 人種、という概念がある。白人、黒人、黄色人種等色々ある。
 地理的要因、文化的要因、政治的要因を脇において、とりあえず、人間の肉体的な特徴から、その属する種が分かるのではないか、というものだ。

 まぁ考えればわかるが、ずいぶんと乱暴な分け方である。

 例えば「人種的特徴」と、なんとなくされているものがある。白人の青い目とか。黄色人種の黒髪とか。

 じゃぁ、瞳の黒い白人は何なのか? 天然茶髪、天然パーマの黄色人種だっている。いわゆるハーフやクォーターは、どこに位置づけるのか。白人はでかくて、日本人はチビだが、背の高い日本人は日本人じゃないのか、とか、それは栄養事情の関係じゃないのか、とか、まぁ考えればきりがない。

 結局のところ、人種という概念には、二つの問題がある。

 一つは、人間の肉体的特徴みたいな、複雑なシロモノを、どだい、3つか4つか5つだかのカテゴリーに分けられると考えること。世の中、純白も暗黒もなく、無数に続く灰色のグラデーションがあるだけである。

 もう一つは、「純粋な白人」「純粋な黄色人種」みたいなものを仮定して、その特徴を前提としていること(「白人の青い目」とか「黄色人種の黒髪」とかね)。その「純粋な○○人」というのは、どこから出てきて、なぜ、それでなければいけないのか。

 要するに人間の成り立ちなどというものは、様々な遺伝的、環境的要因が、複雑に絡まり合ったものなのだ。

 さて、粗雑なカテゴリー分けは間違いのもとだが、一方で「複雑に絡まり合ったもの」というだけだと、「難しくてわからない」というのと同じで、続くものがない*1

 言葉だけで捉えきれない 複雑なものを、複雑なまま理解する方法はないだろうか?

 科学においては、それは、数式という形を取って現される。この場合は、統計学である。

 統計学には、こうした混沌としたデータを分析する手法がある。無数のデータを元に、様々な計算をすることで、あるサンプルが「白か黒か?」ではなく、灰色の中で「白31%、黒69%」とか明確に位置づけることができる。

 もっと重要なことに、「このデータを分析する時、白−黒、という分け方は意味があるか?」ということも調べられる。
 例えば、「鼻の高さ」というのは、人間を遺伝的に位置づける指標のような気がなんとなくしているけど、調べてみたら、そうでもなかった、というような*2ことも、分かってくる。

 こうした手法を使えば、人間というのは、単純なカテゴリー分けでなく、ただの灰色のグラデーションでもなく、無数の色を使った巨大な立体*3である、というのが、実際に見えてくる。

 それを元にして、様々な意味のある分析が、始めて行える、というわけだ。

*1:もっとも、わからないものに関しては、わからない、ときちんと言えることは、科学において、つまり間違った判断をしないようにする上で重要である

*2:例の話です

*3:立体といっても、三次元じゃ済まないだろうけど、そこはそれ