オタクとは……精神的な方向性

 こうしたモデルから、具体的な、「オタク層」オタク系作品、オタク系人間を把握して、初めて、その趣味の方向性について語ることが可能となる。

 さて、いわゆる「萌え系」というのは、「市場モデル的に」で定義した、オタク層の中の、さらに小さな部分集合であり、非常にちっぽけな市場である。

 アニメやゲームのような、制作コストの高い市場では、売り上げ本数自体よりも、売り上げ数を、きっちり読めることが重視される。いかにもな萌えアニメが流行ったのは、当時、売り上げが読みやすかったからであり、別にそれらがオタク層の中で主流であったわけではない。その中からスマッシュヒットが生まれることは、誰も期待していないし、事実、生まれなかった。

 アニメほど締め付けが強くない、マンガの部門を見れば、マンガ全体が、萌え系に向かってなどいないのは、明らかだ。
 一般層も含めて売れてる漫画がメインだし、オタク層が中心に読むと考えられる漫画にせよ、まっとうな成長物語も何も、ありとあらゆる種類が揃っている。

 このような状況で、東(id:hazuma)が言うように、「萌え」を、オタク、あるいは、日本社会全体の傾向を現す一例として捉えるのは、個人的には無理があると思う。

 それでは、こうしたオタク層に共通する精神的な方向性は何があるか、という話だが、それはまた次回に。