ポストモダン化……狭い意味

 一方で、「動物化するポストモダン」において、東は、もっと狭い意味で、ポストモダン化を使っている。

 彼によれば、それは、第一次世界大戦から、ソ連崩壊までの連続した過程であり、そのタイムラインの中で、オタク系文化のポストモダン化が起きている、ということのようなのだ。
 ソ連崩壊によって、「大きな物語」への希求がなくなって、90年代は、データベース消費のオタク第三世代の時代になった、ということらしい。

 これは、大きな仮定を含んでいる。

 「広い意味」のほうは、確かにここ数百年で世界全体に広がった潮流を取り上げ、それが様々な文化に浸透していった、という主張である。当然、地方や文化によって様々なズレもあるだろう。ポストモダン化するのが早いところ、遅いところがあり、またその現れ方には、様々な違いがあるだろう。あるだろうが、影響を無視することはできない、という程度の主張である。

 一方、狭い意味のほうは、「ポストモダン化」という、はっきりとした年表があり、数年単位でそれに即応するような形で、オタク系文化が、ポストモダン化の道を正確に辿っている、という主張である。

 前者はおおむね認めてもいいが、後者は、「え? ほんとにそうなってんの?」と考えるのが、健全な思考というものだろう。