批判と分析

 映像批判に消費社会批判。
 東が、これらの批判的視点にマトリックスの価値を見出したから、そうした視点がない続編がつまらない/価値がない、という主張は、よくわかる。
 ただ、それだけでは、彼の言う「ベタな批評」に過ぎない。

 批評は、作品に価値を発見する仕事ともいえる。批評家は、自分の理論で作品を位置づけていい。だから「全然、気づかなかったけど、そういう見方もあるね」という批評は、あっていい。

 一方で、「なぜ、マトリックスが、かくも受けたのか?/続編がつまらないのか?」を分析するためには、「オレ理論でオッケーだから。オレ理論でダメだから」では、説明としては不十分きわまりない。

 そのへんを押さえた作品批評を望みたいものである。