シミュラークルと埋没/ネタ

 さて、これまではオリジナルを前提とする二次創作の場合だが、オリジナルを「ネタ」として消費する場合がある。

 一つは、極端なパロディ。「あずまんが拳王」(あずまんが大王北斗の拳)みたいに、全然違う作品やネタを混ぜ合わせてシュールなギャグにしちゃうもの。こういう作品は、読者が、その両方のキャラ、ストーリーを知ってることが前提なので、結局は、上記と同じようなオリジナリティへの意識が働いている。

 もう一つは、原作自体の価値を無視したもの。最近だと、「仮面ライダーブレイド」のオンドゥル語*1だろうか。俺も、番組自体は、まだ見てないんだが、FLASHだけ見て楽しんでるくちである。ストーリーも登場人物も、よく知りません。そういう人は、他にも多いだろう。
 つまり、番組という共通体験を無視して、データベース、コミュニティが成立している。

 この「オンドゥル語」は、(一部のオタクコミュニティにおいては)結果的に「ライダー」のオリジナルを埋没させた、と言っていいだろう。

 ただ基本的に、大きな物語を前提としないネタは、一部のコミュニティで盛り上がって、すぐに消え去るものである。「ブレイド」の視聴者全体からすれば、微々たるものにすぎない。
 また「ブレイド」がこの先人気が出るかどうかは、そのストーリーと演技力次第であって、「オンドゥル語」は、あんまり関係なかったりする。
 「ブレイド」の場合は偶然だが、同じように最初からネタ消費を狙って中身の薄い作品は、狭い層にあっという間に消費されるだけで、残らないんだよね。

 確固とした重厚なストーリーというのは、客を掴む重要な手段である、というのは、今も昔も変わらない真理なのだ。

*1:登場人物の滑舌が悪く、決めセリフが全く日本語に聞こえないため、「これはオンドゥル語という異星言語に違いない」というところで盛り上がった