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時代小説というジャンルがある。
わりと年のいったジイサンが縁側で茶をすすりながら読むのが似合うような、そんなジャンルだ。ストーリーも、ジイサン向けの、人生の悲哀とか侘びさびとかをテーマにしたものも多い。
そのルーツはどこにあるか、というと、明治時代の立川文庫あたりにさかのぼれる。これは、もともと子供文化だった。小さい子供向けに大人気の、勧善懲悪なチャンバラ忍法合戦がメインの作品だった。
そういうのを読んで育った層が大人になった時、エログロバイオレンスな時代劇が生まれたし、ジイサンになった時は、枯淡の境地を描く時代劇も生まれた。
今の時代は、大人が子供文化を消費する、と言われるけど、それ自体は別に珍しいことでもなんでもない。
上に述べたようなことは、たとえばロボットアニメでも成り立つ。子供向けのロボットアニメに夢中になった人たちが、大人になった時「大人向けの」ロボットアニメを求めることは、ある種、当然の成り行きだ。
それが「ポストモダン」だというなら、少なくとも90年代特有の現象ではありえない。