「Crypto-survival noteZ」を休載して、美少女ゲーム評論本「ハカギックス」の予告。

エロゲがオタク文化の中心だから、評論に値する、という話。

エロゲというのを全然知らない人に対する説明としては悪くないが、その分、言ってることに単純化が多いので、一応、補足。

まず、「中心」というのが数であるなら、エロゲは、オタク文化の中心ではない。圧倒的に大きな市場を持ってるのはコミックであり、エロゲ市場というのは、極めて小さい。エロゲは、基本的に、マニアックな、濃いオタクが買うものなのだ。

都心と地方の格差も忘れてはいけない(地方でエロゲを買うのは大変であり、エロゲのほとんどは、秋葉、大阪で売れているというデータもあったはず)。

ネットで、さも中心であるかのように語られるのは、エロゲユーザーとネット層の親和層が非常に高いためだ。

もちろん、濃いオタが買うからこそ、(ある種)中心的な位置にある、という言い方はできる。

次に、東は、エロゲが拡大したことについて、

 その理由はさまざまですが、ひとつ大きな転機になったのは、1996年の『雫』を契機としたノベルゲームの台頭です。

と書いている。

ノベルゲームという形式自体は、コンシューマーの「弟切草」もあったし、エロゲなら、「河原崎家の一族」はヒットした。

ノベルゲームという形式がブレークした時点を問うなら、「痕」あるいは「To Heart」になろう。

「雫」の時には、まだまだマイナーだった。

あとはまぁ、一応フォローはしてあるけど、非ノベルタイプのエロゲーも、それなりに存在し、特にアリスの、国盗りシミュレーション「大悪司」や「大番長」は、いずれもかなりの売上げを記録した、とか。

 現在の美少女ゲームには、このノベルゲームの形式を採用したものがとても多くなっています。ただし、その規模は『雫』のころとは較べものにならなくなっています。シナリオ量はいまや怪物的なものになっており、クリアーするのに何十時間もかかる作品も少なくありません。

総体としては増えている。

が、増えているものの中には、キャラを増やしたことで、ルートが増えた結果のものも多い。ストーリーの重厚さで増えていくものもあるが、必ずしもそればかりではない。

 とくに、この評論本の中核にある感覚と、『ファウスト』がいま進めている「新伝綺」のあいだの大きな差異については、座談会で話題になることと思われます。現在、美少女ゲームライトノベルの接点では奈須きのこ氏の作品(『月姫』『空の境界』『Fate/stay night』)が突出して持ち上げられていますが、これは必ずしもよい状況ではありません。そもそも『ファウスト』は、当初は「新青春エンタ」を編集方針にしていたはずで、だとすると、伝奇作品の系譜よりも、今回評論本に登場していただく原田・元長両氏や、高橋龍也氏や麻枝准氏が作り上げてきた「現代ファンタジー」(佐藤心)の流れのほうが親和性が高いのです。それなのに突然伝奇よりになったのは、不可解としか言いようがない。僕は基本的には『ファウスト』を応援しているし、はっきり言って小説誌でまともに読んでいるのはこの雑誌しかないのですが、上記の点で、第三号の目次予定にはどうしようもない違和感を覚えています。その感覚が、この同人誌企画の原動力のひとつになっているわけです。

(以下、しばらくマジギレします)

それはなぁ!

「現代ファンタジー」なんて、ヘナチョコなコピーじゃ、売れねぇからだよ!

普通に「現代ファンタジー」と聞いたら、「都会の片隅で起きた小さな奇跡」みたいな、ほんわかストーリーしか想像しねぇよ!

月姫」は純粋な伝奇物だし、西尾/維新みたいな、伝奇ではないけれど、アクション要素が強い作品で、ファウスト講談社系列のやつを「新伝綺」として売りだそうというのは、あざといけれど、少なくとも「現代ファンタジー」よりかはマシだよ!

そもそも原田の「ホワイトアルバム」は、伝奇でもファンタジーでもないし、高橋の「雫」「痕」は、どこにだしても恥ずかしくない立派な伝奇物だ。

だいたい、奈須をひっぱってきたなら、奈須メインで売るのが当たり前だろ。

「新青春エンタの旗手、奈須きのこ」と「現代ファンタジーの旗手、奈須きのこ」と、「新伝綺の旗手、奈須きのこ」。月姫Fateファンには、どれが売れそうだ?

そもそも「当初の新青春エンタから変質したからよくない」というなら、まだわからないでもないが「代わりに僕チャンたちの考えた、現代ファンタジーを使わないのがダメ」というのは、脳味噌腐ってますか?

(マジギレ終了)

批評をするのと、経営方針に口を出すのとでは、別種の責任が必要となります。

これだけ読むと、原田、元長氏も含めて、ファウストのあずまん組が、編集方針に反発して作ったゲリラ雑誌、みたいな印象をどうしても受けちゃうわけだけれども、ほかのライターさんとは、そういうコンセンサスがきちんと取れてるんでしょうか?

波風立てたいがために意図的に、こういう記事を書き、他人を巻き込むというのならともかく、素でやってそうなところが非常に怖い。

原田氏、元長氏は、ライターとして期待しているので、変なことに巻き込んでほしくないなぁ(誤解であったら東氏を含め、大変失礼なことを言ってますが)。