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西島:そこで問題なのが、そこに二つ並んだ『ほしのこえ』と『オーバーマン キングゲイナー』(2002-2003年)のキャプ画面の差なんです。偉そうなことを言っている『キングゲイナー』の方が明らかに『ほしのこえ』の静止画よりもクオリティとして劣っているのを見て、「わ、これは!!」と思いました。たぶん、「一人でよくやって偉いけど、アニメの世界はそんなもんじゃない」的なところに落とそうとしているんですが、業界に関係ない人間から見ると、明らかに新海さんの作品の方がクオリティが高い。この時点で僕かなり色んなことを考えちゃいました。
うーんと。えーと。
死んじゃえ。
ここで話題になってるのは、アニメージュの対談で、新海誠が、富野監督に説教されたという話。
そんな餌で俺がクマ(AA略)という気分を押さえて、説明すると。
西島の意見は、二つの点を完全に見落としている。
その1。キンゲは、動画を見るアニメ。ほしのこえは、静止画を見るアニメ。
その2。 「ほしのこえ」は、20分のアニメ。ゲイナーは2クールのアニメ。
その1に関しては、キンゲを見てほしい。アクション作画とか純粋に凄いから。一枚の静止画を比べて、キンゲがほしのこえに劣る、というのは、蛮勇というか、とにかくバカ。アニメという「見ればわかる」媒体において、何もわかってないことを露呈している。*1
その2に関してだが。
アマチュアが、制約なしで、一人あるいは少人数でやる規模の小さい道楽で、クオリティが高いのは、ある意味、当たり前である。
小規模プロジェクトでクオリティを保つのと、大規模長期紐付きプロジェクトでクオリティを保つのとは全く別の能力が必要とされる。
「一人でよくやって偉いけど、アニメの世界はそんなもんじゃない」という富野の言葉は、非常に正しい。
新海は、そのへん、非常に現実に足の着いた発言をしており、東や西島の発言を受け流しつつ、新作では、既存のアニメ製作方法も、必要に応じて取り入れていることを述べていた。
そのへん、東、西島の祭り上げと、それを軽くかわす新海のすれ違いが、ポイントの鼎談かもしれない。
*1:記事は見てないから、静止画として劣ってるかどうかも知らないけど。