共同討議 ホワルバ

 次に、雫からTwoHeart、ホワイトアルバムへ至る流れ。

更科:あのゲーム(註:ホワイトアルバム)が当時、すごく批判された理由って、どうやってもだれかを傷つけるっていう構造だったからなんだよね(中略)。でも『To Heart』以前はそんなことになっても、別に罪悪感を感じてはいなかったんですよ。フィクションとの距離がまだ離れていたというか。鬼畜系のゲームとかも普通に売れていたし。(中略)ユーザーの反応としては、「せっっかく『To Heart』ので楽園を構築したのに、一年も経たないうちになんで自分から叩き壊そうとするんだこいつら(Leaf)は」という感じだったし。

 ホワイトアルバムというのは、様々なヒロインがいて、誰を選んでも誰かが傷つき、そこで修羅場になるというゲーム。俺は個人的に好きだが、人気がなかった。

 で、更科はすぐ、「オタクが楽園を求める。楽園を脅かされると怒る」とか言うだすのだが、この場合、ユーザーが怒ったのは、看板に偽りがあったからだろう。

 ホワイトアルバムが、「リーフが送る衝撃作! 激・修羅場ノベルゲーム! あなたは誰を選びますか? そして誰を泣かせますか!」という売り文句なら(さらに売れなかったかも知れないが)、買ったユーザーは別に怒りはせんかっただろう。

 普通の純愛ゲームとして宣伝されたものだから、ToHeartみたいな印象を持った。それを裏切られたから、腹が立つ。それだけのことだ。プレイヤーの予想を裏切るのが悪いとは言わないが、リスクの高い手法ではある。それによって叩かれることも、普通にあるだろう。

 「フィクションとの距離が離れていた」云々は、まるで無関係。
 ストーリー性があって、キャラに感情移入し、故に下手なことするとオタクが怒るゲームは、ToHeartの遙か前からあった。同級生あたりが基本だろう。