2003/09/17*2

 やっとのことで、読み始めました。この日記に関して、「批評するなら、ちゃんと本を一通り読んでから書け」という非常にまっとうな指摘をいただいています。

 理由は、いくつかあって、一つは、全部読み終わってから、まとめて「東浩紀論」を書くのはモチベーションを維持するのが大変だということ。その日、その日の意見を書くことも、それはそれで意味があると思うからです。

 次に、俺は、あくまで、それぞれの「本」の批評をしているのであって、一冊の本の善し悪しは、東浩紀氏の全思想および、その源流となる哲学・社会学全体と、切り離して語れるということです。特に、その本が一般向け啓蒙書である場合。

 例えば、科学解説本を読んで「相対論が間違っている!」というのは、トンデモさんになっちゃいますが、「この解説本、説明が下手!」とか「記述が間違ってる」とか「こんな風に読めちゃうけど、これってホントなのかよ!」ということは、科学の分野に対する素人が言ってもいいし、耳を傾けるべきポイントなわけです。

 むしろ、そういう素人に対し、「おまえは相対論をわかってない。文句があるなら、アインシュタイン方程式を導出できるようになってから来やがれ!」というのは、啓蒙書としては敗北です。

 そういう読者の立場からの意見が大切だよ、という単純なことが言えない空気っぽいものを感じていたので、この日記では、好き勝手言うことにしています*1

 逆に言うと、この日記は、ある種の人……例えばオタク、例えば現代思想や東氏の背景に詳しくない人……が、東氏の本を、ポンと手に取った時に、どんな疑問や誤解を抱くか、というケースとしては、一般性を持つように意識して書いています。

 事実、このへんの疑問はFAQだ、というような意見を見ました。じゃぁ、そのFAQのアンサーは、どこにあるんだ? という話です。「動物化するポストモダン」発売から二年経ってるわけで、素人が感じる疑問がFAQになるくらい貯まってるなら、整理してまとめとかなきゃいけないでしょう*2

 ま、どうでもいい話はこのへんにして。

*1:無論、読者の意見……特に一読者の意見が常に100%正しい、なんてことはありません。ただ予備知識を持たないやつが悪い、というのに比べれば、少しはマシです。前者の場合、どんなわがままで馬鹿な読者にでもわかるように文章を工夫しようと頑張ることはできますが、後者の場合、何の結果も生まないからです。

*2:この日記の疑問に関する答えがある文章がありましたら、適宜ご指摘ください