TRPGではない
簡単なほうから行こう。
二番の、大塚の批判がTRPGに向けたものであるか、どうかだ。
先ほどの大塚の引用の直前に来るのが、以下の文章である。
そして同時にゲームという表現が人の死をパラグラフの数値として示し、リセット可能なものとして描いてきたことも確かです。ゲーム業界内で作った倫理規定で残虐殺人シーンを描いてはいけないとあるのに、ゾンビであればいくら殺してもOKというどうにも身勝手な解釈をしてルール運用してきたのも、ゲームという分野の「死」という表現への態度です。
「キャラクター小説の作り方」p142
リセット可能で、倫理規定があって、ゾンビであればいくら殺してもOKな業界というのは、言うまでもなく、コンピュータゲーム業界に当てはまり、TRPGには、ほとんど当てはまらない。
大塚が「ゲーム」「ゲームのような小説」という時、コンシュマーゲーム(RPGに限らずアクションもそうだ)を意識しているのは、明々白々である。
このあと、大塚はTRPGについても言及しており、彼がゲームという時、TRPGを含むゲーム、と考えてもいい。
しかし、東の言う
実はここで大塚が「ゲーム」という言葉で指しているのは、いまやゲームの代名詞的な存在となったコンピュータ・ゲームのことではなく、さきほど触れたTRPGのことなのである。
というのは完全に間違っている。大塚の言うゲームは、明らかにコンピュータRPGを含んでいる。