約束事から道徳律へ

 以上、荒い分析でした。
 もちろん、他にも理由があるだろうし、また、いちいち理由を意識する必要もないでしょう。

 で、これはまぁ、余計な危惧、あるいは偏見かもしれませんが、やおい好き二次創作のコミュニティの間で、主に3番の方向が暴走する時がある気がする。
 コミュニティ内の価値観、お約束事としては全然問題ないのだけど、例えば、新規参入者が、よくわからないまま、そうした道徳律を鵜呑みにしちゃって、「やおい的読み方は邪道なのだ」というのが、お約束事から、本当の道徳として強制されちゃうように見える瞬間がある。

 そこが、気になる点です。

 二次創作は、本来、元作品とは別なもので、元作品をどれだけうまく翻案できたかという「愛」は、作品の良さの一つの基準だけど、絶対の基準じゃない。元作品を憎悪していたり、いい加減に取っていたりする作品も、それはそれで評価されていいと思う(1番の理由から、そうした作品を評価するのは危険かもしれないけれど)。

 だから、「元作品尊重主義」という考えは、絶対的な道徳にしてしまうと窮屈だと思うし、また、ある種の作品に対する排除に働く可能性がある。