動物化するポストモダン

理論とデータについて

でじこについて

日記中で、「あなたが、でじこに出会った時期と、第一印象は?」とアンケートを募集しましたら、幾人かの方にご協力いただけました(現在も募集しております)。 まず、本文中で「ゲーマーズの方針は当たり、今となっては、でじこは普通に萌えキャラとして受…

おたくが反発する理由について

上記、宮崎アニメがおたく的かどうかについての議論に際して、その動機についての質問がありました。 そうした問題に対する俺(そして他のおたく)の反応が「たんなる定義の問題というより自己規定、つまり自分のオタクとしてのアイデンティティに関わる怒り…

宮崎アニメについて

http://d.hatena.ne.jp/motidukisigeru/20030909#p4 上記で述べた論考に関し、「宮崎アニメが、おたくアニメに含まれるかどうかは、断定できる性質のものではないのではないか。また、たとえ宮崎アニメがおたく系に分類されようが、されなかろうが、論考全体…

コメントについて 2003/09/13*6

ありがたいことで、こちらに書いた論考に関して、多くの方から、コメントをいただきました。以下は、そのコメントから得られたもののまとめ、その1です。

デザイン先行の匿名キャラ

「でじこ」が、デザイン先行で、性格や設定が自然発生的に現れた、という解釈は、明らかに間違いだが、そういうキャラ/現象は、いくつも存在する。 いい例が、「萌えるエコアイス」のえここだろう。 元々は東北電力のキャンペーン用キャラクタで、何の設定…

でじこに関する2、3のことども。2003/09/12

さて、これまでの批評では、なるべくトリビアルなツッコミは避けようと努力したつもりである。 細かい揚げ足を取ることは、必ずしも全体の論の批評には結びつかないからだ。事実関係の問題を指摘した際は、なるべくそれが、全体の論の中で、どのような位置を…

質問篇 2003/09/11

区切りたかったので、日を変えました。 批評的な側面からは書き尽くしたので、ちょっとスタンスを変えて、質問形式に変えてみよう。 以下は、「動物化するポストモダン」に関して、東氏(id:hazuma)に対する質問である。 質問1 第1章では、(オタク系文化に…

感想

内容、分析とも、鋭く面白い部分も多かった。それだけに、無神経な決めつけや、仮定の導入が気になる。 大所高所から大きな理論を援用して何かを説明した気になるのではなく、「実際のメカニズム」に注意を払って欲しい。 日記の最初に書いた通り、哲学や文…

ポストモダン

で、それらを「ポストモダン」によって位置づける試みだが、望月の評価では、これは、大きく失敗している。 仮定を使って、何かを説明する時は、説明のために持ち出す仮定と、それによって説明される結果が、見合うものでなくてはならない。 つまり、この「…

データベース消費

前者の消費活動の分類に関しては、大きく評価できよう。第一世代、第二世代、第三世代という区分については単純すぎて、そのまま受け入れられない面もあるが、データベース消費という概念自体は、オタクの活動を、うまく現す、非常に優秀な概念である。 東は…

総まとめ 2003/09/10

区切りたかったので、日を変えました。 「動物化するポストモダン」には、二つの側面がある。一つは、オタクの消費活動を分類し、系統づける試み。もう一つは、「ポストモダン」というモデルを前提に、その変化を意味づける試みだ。

 データベース先行型作品について

先ほどは、「データベース消費より作品が先攻する」と書いた。 だが、確かにそうでなく見えるものもある。 東は、デ・ジ・キャラットを挙げているが、これなんか確かに、作品という実体を欠いた状態から始まって、データベース的な消費が先行して、あとで作…

第2章 解離する人間

二章の続きでは、オタクが、「大きな物語」を否定しつつ「ウェルメイドな物語」の欲求を高めている矛盾が提示され、以降、それについて話が巡る。 この矛盾は、東が、「オタクはポストモダン化して、大きな物語を必要としなくなった」と決めつけたことに端を…

第2章 いったんまとめ

区切りたかったので、日を変えました。 さて、東の論では、第1世代オタクは、作品そのものを素直に消費していた。第2世代オタクは、作品そのものではなく、その背後にある設定、背景世界を消費していた(物語消費)。第3世代オタクは、個々の作品ではなく…

第2章 データベース的動物

長くなるので、キーワードを整理していこう。 大きな物語 生きる意味とかを与えてくれる物語。その中でも、みんなで共有できるようなもの。 例えば「まじめに働いてお国のために尽くそう」とか、みんなで信じて働いてた時代があったわけだ。 あるいは「お金…

第1章/望月なりの結論。

さて、ポストモダン云々を無視しても、日本のオタク作品に、疑似日本モチーフが多いのは確かである。 それについては、単純にモチーフとして使いやすく面白いから、ということだろう。巫女さんにしろ江戸や大正にしろ、適度に感情移入できて、適度に異世界/…

第1章 オタクたちの疑似日本

というのも、オタクたちが生み出した「日本的」な表現や主題は、じつはすべてアメリカ産の材料で作られた、二次的で奇形なものだからだ。 利口ぶるバカが書く文章には、いくつか典型がある。その一つは、何にでも当てはまるような大ざっぱな一般論から、適宜…

前書きによれば、本書は、オタクと一般層の間の橋渡しをして、風通しをよくするために書かれたそうである。 まず、そこに危惧がある。本書は書名の通り「ポストモダン」を通じて、そのへんの説明をするものである。 普通の人はポストモダンについてよく知ら…