2003-01-01から1年間の記事一覧
郵便的不安たち#において、彼は、「大きな物語が崩壊した」ため、「タコツボを横につなぐこと」を目的として掲げていた。 それが目的ならば、例えば、社会の動物化をオタクに対して語る時、「いや、それは細部で間違っている」と言われた時に、「細部はどう…
さて、議論によっては、全体的な流れはどうでもよく、細部の説明自体に意味がある場合もある。 それは、全体的な流れが存在することが、誰にも了解されている時である。 例えば、「物を落とすと、やがて落ちる」という大原則は、誰もが了解している。その次…
さて、全体的な大きな流れが存在する時も、常に、それに反発する部分はある。川の流れは上流から下流へいくが、その中にはよどんでいたり、逆流していたりする部分もある。 この時、ことさらに、逆流する部分を取り出して、「川が流れてるとは言えない」と言…
東氏(id:hazuma)の言説を巡る議論において、事実関係の議論をする時、しばしば言われるのが、「それは細部であって本筋ではない」というものである。 こうした議論は、東氏が直接、言っていることではないことは確認しておきたいが、一応、論駁する価値が…
(オタクたちは)集団として見れば、結局、猫耳が流行れば、バーッと猫耳、メイドが流行ればバーッとメイド、羽根が流行れば羽根というわけで、単にもう動物的に動いているだけだろう、と。むしろ、そういう風に捉えたほうが、オタクたちの行動は効率的に説…
こうしたモデルから、具体的な、「オタク層」オタク系作品、オタク系人間を把握して、初めて、その趣味の方向性について語ることが可能となる。 さて、いわゆる「萌え系」というのは、「市場モデル的に」で定義した、オタク層の中の、さらに小さな部分集合で…
上記のモデルを踏まえるなら、基本的に、遊びに使える金が多いのは、大学生、そして、独身の社会人。オタグッズを集めて文句を言われないのも、一人暮らし独身。*1 そのへんで統計取ってみれば、生身の女性が苦手、というのも、あながち外れてないだろう。 …
大ざっぱに言って、「オタク市場」と呼ばれるものは、20代前半から30代くらいに至る層で、見込める数は、数千から10万。平均が1〜2万というところ。 いわゆる「萌え系」の作品、ギャルゲ、エロゲの購買層は、この中に集中している(相関が非常に大き…
『「オタクという立体が、どういう形で、どんな色に塗られているのかが見えてこないんだもの。」 望月氏のこれもうまく見えてこないんですが、一度まとめていただけると東氏への言及が読みやすいです。』 このようなコメントをいただいたので、ひとまずまと…
上記の手法が使えるのは、もちろん、人種だけではない。むしろマーケティングなんかで、よく使われている。 うちの製品を買うのは、どういう層か? それを例えば、年齢別、収入別、趣味別、とにかく色々なデータを放り込んで、それぞれ、あるいは、その組み…
人種、という概念がある。白人、黒人、黄色人種等色々ある。 地理的要因、文化的要因、政治的要因を脇において、とりあえず、人間の肉体的な特徴から、その属する種が分かるのではないか、というものだ。 まぁ考えればわかるが、ずいぶんと乱暴な分け方であ…
人間関係と「世界の終わり」を短絡するというこの点で、新井素子はオタク的世界感覚をよく現していた小説家でした。そして九〇年代には、その短絡が全面化してしまっています。 郵便的不安たち#p65 東(id:hazuma)の理論だと、九〇年代はポストモダン化し…
東は、二次創作のシミュラークル、非創作的なところばかり強調した結果、現実を無視した粗雑な割り切りをすることとなった。 ここでは、逆の側面……すなわち、原作が持つオリジナリティ、二次創作が持つオリジナリティの方向を見てみよう。 まず最初に述べて…
東(id:hazuma)は二次創作をデータベースとシミュラークルという概念で位置づける。 データベースへの批判は、これまで、何度も書いてきた通りである。特定のデータベースの内容を組み合わせて、そこから作品を作るのは、娯楽作品に一般的な作り方であり、…
さて、これまで、東の言う「動物化」が、90年代特有の現象とは言えないことを述べてきた。とはいえ、昔から「動物化」の要素があったからといって、現代が動物化していない、と言い切れるわけではもちろんない。 では、実際に「オタク」は、あるいは「日本社…
以上を踏まえた上で、「動物化するポストモダン」以外で、東が、「動物化」をどのような意味で捉え、どのような意図で使っているかを調べてみよう。 僕としては、「考える主体」としてではなく、「生きる身体」「生かされる身体」としての人間という感じで使…
東(id:hazuma)の文章で何度も使われる「動物化」の意味を、いくつか抜き出してみよう。 東は、人間的な欲望と、動物的な欲求を対置し、社会的な関係の中で作られていくのが欲望、単純に欠乏を埋めて満足するのが、欲求としている。 したがってここで「動物…
貯まってる課題があるのだけど、とりあえず、これについて。 東氏(id:hazuma)は、20日の日記で、以下のように書いている。 凄いといえば、今日のバトルトークの内容もまた凄かった。誰もポルノや表現の自由のことなんか考えていない。問題は「若者が怖い…
ω x Y のっけから何かと思われるでしょうが、まぁ小学生が、よくやるような落書きです。こんなんでも、じっと見てると、女体に見えてくる(笑)。小学生、中学生の頃は、意外と、こんなのでも興奮したものです。 大人でも、女子禁制、エロ本無しの環境にずっ…
東氏の言葉だと、昔は「象徴界が充実」していて、一人一人がきちんと主体的に言葉を通じて、相手とのギャップを埋めようとしてたわけだけど、今は断片化されたタコツボ言語を、一人一人が「おしゃべり」として消費していくに過ぎない、ということになります…
まぁ、そんなわけで、拙い言葉で、少しは「大きな物語の不全」を埋めてみます。 さてさて、世の中が複雑になればなるほど、自分のできることが相対的に小さくなる、と言えるでしょう。 すっごく昔の、小さな村の話。おっとうは毎日木を切りにゆく。こういう…
ただ、問題なのは、ここからです。 一〇代の少年が、「なぜひとを殺してはいけないの?」という問いにいきなり行ってしまうわけです。ここまでの話から分かると思いますが、この問いに既成の言葉で答えても意味はありません。そもそもそのような疑問は、言葉…
東氏は、幾原氏の言葉を引いて、「今の若者は、恋愛と、世界の終わりだけしかわからなくて、間がすっぽ抜けてる」と喝破します。うん、これも、とってもよくわかる。 それを、東氏はラカンの概念の「象徴界」というのを持ち出す。「象徴界」とは……と言いだす…
これ読んで、ようやく、東氏(id:hazuma)の問題意識の一端がわかりました。 現代は、人と人との間の共通の話題がなくなって、みんなが自分の趣味的領域なタコツボで自足するようになる。価値観の違う人と話そうという動機も必要もないから、タコツボの中で…
やっとのことで、読み始めました。この日記に関して、「批評するなら、ちゃんと本を一通り読んでから書け」という非常にまっとうな指摘をいただいています。 理由は、いくつかあって、一つは、全部読み終わってから、まとめて「東浩紀論」を書くのはモチベー…
データベースと世代論の話を続けよう。 東氏(id:hazuma)は、第2世代作品……世界観を持った作品の典型として、「ガンダム」を挙げているが、果たして、そうだろうか? 「ガンダム」という作品は、基本的に「かっこいいキャラ」が「軍服」着て、「かっこいいロ…
僕はいつも九五年におけるオタク系文化の切断ばかり強調してるわけですが、もちろん連続性もあるわけです。個人的に言えば、それを実感するのが『うる星』の存在なんですね。p165 いや、全くその通りで。 『うる星やつら』は、東氏の言う「データベース」の…
東:そもそも、戦後の日本の男性は、一方で絶対的に優位なアメリカ文化に虚勢されつつ、他方でえらくマッチョだという二重性を抱えていて、それがオタクたちにも現れていたと言えるのではないか(p1388) 斉藤:そもそも、なんでそこでトラウマとか言い…
東:(中略)『動物化するポストモダン』はある意味で権威的な歴史観に立ってるし、ディティールを捨てて虚構的なオタク史を語っている。そこから落ちているものはたくさんあるし、僕自身いくらでも自己批判できるけど、でもやはり、あの世代観や九五年断絶…
てなわけで、今度は鼎談の感想について。鼎談だけあって、話題が色々飛んでいるので、精密な批評はしません。分析も東氏(id:hazuma)の言ってることがメインになります。小谷真理の言ってることも、控えめに言って、ツッコミ欲をそそられますが、それは置き…